Home > 医師会会長挨拶
綾歌地区医師会長
溝渕 博司
このたび、令和6年5月28日の定時社員総会におきまして、8期目の医師会長に選定され、その責務を痛感しております。
当医師会は「平成の大合併」に際し、綾歌郡から2市1町に合併・編入される事態となり、2004年12月、これまでの「綾歌郡医師会」から「綾歌地区医師会」に名称を替えて、地域に根差した医師会として設立しました。設立当時の所属医療機関数は、41件(病院:3、診療所:38)、会員94名(うち診療所開設者:38)でしたが、20年経過した2024年6月現在、所属医療機関数は、43件(病院:3、診療所:40)、会員98名(うち診療所開設者:40)であります。その間、新規診療所開業は9件、開業率は年平均約0.47%、休廃業は7件で、廃業率は年平均約0.88%と、全体としての医療機関数は殆ど横ばい状態であります。
厚労省の統計資料によると、2020年時点での開業医療機関における医師の平均年齢は50.1歳、診療所だけに絞ると、平均年齢は60.2歳となっております。当医師会の診療所開業医は、40~50代の医師は少なく、平均年齢は、67.1歳、年齢別割合では、85.0%(2020:82.5%)以上が60歳以上で、そのうち52.9%(2020:42.0%)が70歳以上と、ベテラン年齢層が全体の半数以上を占めております。
また、帝国データバンクの調査では、2021年の医療機関の廃業率は約0.47%で、休廃業や解散は567件あり、そのうち診療所は471件と過去最高となっています。一般企業の廃業・倒産率が約1.4%であることと比較すれば、医療業界の廃業率は低いといえますが、定年という明確な区切りのない診療所開業医の世界では、高齢化が進みやすく、加えて後継者探しの困難さもあり、健康や環境が許す限り現役で働く開業医の姿が見えてきます。
一方、診療所開業医の廃業率上昇は、地域の医師不足を加速させる要因ともなり、若手医師による新規開業が進まなければ、地域の医師は減少の一途を辿ることになります。地域住民や患者にも、かかりつけ医を失い、地域医療が損なわれる可能性を秘めており、しいては、地域医師会の存続にも直結する重大な問題でもあります。
今後は、地域の実情に応じた柔軟な対応が必要であり、医師会や関係機関との連携を強化し、地域全体で医療提供体制を支えていくことが大切ではないかと考えます。
以 上
令和6年5月
綾歌地区医師会 会長 溝渕 博司